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香月の物語-誠-③

一人でやることが、ずっと誠実だと思っていました。

誰にも気を遣わず、自分の判断で動き、自分の責任で終わらせる。

それは、私にとって一番シンプルで、一番迷いの少ない働き方でした。

私にとっての誠実さは、この施術や接客で、お客様が本当に安心できているか、あとで後悔しない仕事ができているかを、何度も考えること。

だからこそ、人を雇うという選択は、簡単にできるものではありませんでした。

人を雇うということは、仕事を分けることではなく、責任を分け合うこと。

うまくいかなかった時、その人の迷いや不手際も含めて、最終的に引き受けるのは自分。

それなら最初から、一人でやった方がいい。そう思っていました。

それに想いは、簡単には伝わらない。

ずっと今までそうでした。

同じ言葉を使っても、同じ温度で仕事ができるとは限らない。

私が今まで大切にしてきた向き合い方や基準を、本当に共有できるのか。

その不安が、人を迎えることをずっと遠ざけていました。

だから私は、「一人でやる」という選択を続けてきました。

それは、楽だからではなく、誰かに期待するほど、自分が傷ついてしまうことを 知っていたからでした。

けれど続けていく中で、一つだけ、はっきりしてきたことがありました。

一人で抱え続けることで、自分自身の余裕がなくなり、大切にしたかった誠実さが、少しずつ揺らぎ始めていたこと。

そう感じた時、私は初めて、「一人でやる以外の形」を考え始めました。

不安も、迷いを抱えながら それでもここから、人と向き合う章へと、静かに進み始めていきます。

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