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香月の物語-覚-⑤

スタッフが揃い、日々の業務も安定してきて、お客様にお越しいただく機会も少しずつ増えていきました。

社会の流れが大きく変わる中でも、気がつけば、忙しい毎日を過ごすようになっていました。

特別な出来事があったわけではありません。目の前のことを一つずつ積み重ねてきた結果、今の形になっていたのだと思います。

そんな日々の中で、はっきりしてきたことがありました。

それは、もう私一人の力だけでは続けられないということでした。

スタッフと一緒に働き、長く通ってくださるお客様が増え、香月は、いつの間にか「一人のサロン」ではなくなっていました。

それにもかかわらず、個人事業のままでは、判断も、責任も、もし止まった時のリスクも、すべてが私一人に集中します。

もし私が動けなくなったら、香月は止まってしまう。

それは、お客様にとっても、スタッフにとっても、望まれている形ではありませんでした。

だから私は、香月を続けられる形に変える必要があると考えるようになりました。

法人にすることで、誰が責任を持つのかをはっきりさせ、決断を先延ばしにせず、私ひとりの判断や気持ちに左右されない形で、香月を続けていくため。

それは同時に、香月を「個人の想い」ではなく、人が集い、支え合い、続いていく場所としてきちんと残していくという選択でもありました。

そして今、その延長として、店舗展開も視野に入れるようになりました。

これは、一度きりの人生できる所まで後悔なくやってみたいという気持ちから生まれた考えです。

うまくいくかどうかは分かりません。

失敗する可能性もあります。

それでも、やらなかった後悔だけは残したくなかった。

香月で積み重ねてきたことを、もう一つの場所でも試してみたい。そう思うようになりました。

香月を、私一人で抱え続けるのではなく、人と一緒に、続けていく場所にしたかった。

だから私は、香月コーポレーションという形を選びました。

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